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はははの物語

 

VOL.1 お庭でコンサート(解説版)  2丁目石井歯科医院物語 石井久恵  Page.1
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お庭でコンサート


解説について
※ お母さんたちへのメッセージ
※ 歯科医の立場から子どもたちが治療を受けられるように気を付けていること。

 春の風と共に中庭からクラリネットの優しい音が心地よく響いてきます。ここはレストランでしょうか、それともホテル?いえいえ、ここは地方の小さな歯科医院です。
 治療室は床から天井まで一面が窓になっています。治療を受ける患者さんたちは中庭から流れるクラリネットの音色に、ここが歯科医院であることをしばし忘れくつろいだ雰囲気を楽しんでいる様子です。中庭には二十脚ほどの椅子が並べられ、治療を待つ患者さんや治療が終わった患者さん、コンサートのために足を運んだ患者さん、近所の人たちも加わり、大人も子どももおやつに出されたおにぎりやお茶を楽しみながら軽やかに流れるメロディーに聞き入っています。
 中庭は通りからは遮断されているので、周りを気にすることなく思い思いに楽しんでいます。アイネクライネ・ナハトムジーク、となりのトトロのテーマ曲など誰もが一度は耳にしたことのあるお馴染みの曲目が流れ、自然と身体がリズムに乗ります。

演奏者は、音大四年生の男の子。この春大学を卒業して音楽の仕事に就くことになっています。彼の友だち四人も加わり今日はクラリネット・アンサンブルでの演奏です。
モーツアルトの旋律が滑るように流れて、私の記憶がさらさらと過去に戻っていきます。

1. 出会い

 ある日のこと歯科医院に5歳くらいの元気な男の子がお母さんと一緒に来院しました。
男の子の名前はたつのりくん、みんなからたっちゃんと呼ばれています。
 何日か前に幼稚園で歯科検診があり、昨日検診結果の書かれた紙が渡されました。どうらや虫歯が出来てしまったようです。お母さんはたっちゃんから受け取ったその紙を読むと少し困った顔をして、たっちゃんに言いました。
 「たっちゃん、奥歯に虫歯が見つかったそうよ。おかし食べ過ぎちゃったかもね。」
お母さんの真剣な顔を見て、たっちゃんは静かにうなずきました。
 「うん。」
お母さんの言うことを聞かず、夜の歯みがきの後にこっそりお菓子を食べたことを思い出しました。――きっと、ムシバイキンが夜寝ている間に僕の歯を食べたんだ。どうしよう―――。たっちゃんは穴のあいた歯にいるムシバイキンを想像して、ズボンの上に置いた手の平をぎゅっと握りました。 そんなたっちゃんの様子を見てお母さんは、
「たっちゃん、こわくなっちゃったかな?でも大丈夫よ。歯医者さんで虫歯を治してもらいましょう。お母さんが明日、歯医者さんに連れて行くから、ちゃんと治療しようね。」
※1 このような場合、むやみに子どもを怒ると後に治療に結び付けるとき、お母さんが怒るからという動機になってしまう。また、お前が悪い、とやみくもに子どものせいにすると子どもは自分は悪い子だという認識を持ち、自己肯定感や自信の低さにつながりやすい。感情的にならずに年齢に応じた言葉で治療の必要性を子どもに説明することが大切です。

「やだ、やだ!歯医者さん怖いもん。」
「たっちゃんは、歯医者さんが怖いと思っているのね。」
※2 子どもが怖い、と訴えたとき、「怖くないよ。」「弱虫ね。」と言うことは子どもの気持ち(感情)を否定することになります。怖いと感じている子どもの心を無視したり、笑ったりして感情そのものに親の判断を下さず、まずきちんと受け止めることが大切です。このとき、たっちゃんは怖いのね、と主語を子ども自身にすることで、歯医者さんが怖いと思っているのは子ども自身の気持ちであることを明確にします。歯医者さんのすべてが怖いわけではないという意味も含まれています。自分の感情をお母さんはわかってくれた、と子どもが感じることで子どもは「自分は大切な存在だ。」と感じ、自己肯定感が育まれて行きます。

「うん。お口の中見えないんだもん。」
 たっちゃんは畳の上で足をもじもじさせました。たっちゃんは以前歯医者さんに行ったとき、何とか治療から逃げようとして騒ぎ、歯医者さんに怒られたことが何回かあったことを思い出していました。
 「あのね、たっちゃん。幼稚園のお友達のお母さんから聞いた歯医者さんは、きっとたっちゃんと仲良くなってくれると思うよ。子どもたちといっぱいお話してくれるんだって。どお、行ってみない?」
 ※3 子どもの不安が何処から来ているのかをお母さんが理解しようとしていることが伝わると、それだけで子どもの安心につながります。自分は大切にされていると感じることができます。

 「へえー。そおなの?ほんとに?」
 「たっちゃんの仲良しのゆうきくんも治療できたそうよ。道具の説明もきちんとしてくれたって。お母さんはたっちゃんなら出来ると思うよ。」
 ※4 あなたならできると信じている、というメッセージは子どもに自身を与えます。5〜6歳くらいから子どもは親の期待に応えることに喜びを感じるようになります。中学生くらいになると親の価値観から離れて自立の時期に入ります。中学生になると親の意見に反抗的なるのはそのためです。小学校の高学年くらいになって、親への反抗が始まったら、成長のあかしだと思って見守りましょう。

 お母さんにそう言われて、たっちゃんも行ってみようという気持ちになってきました。
 「うん、行ってみるよ。」
 「そお、さすがたっちゃん、えらいね。ちゃんとお口を開けてがんばるのよ。虫歯は放っておいても穴が治ることはないんだから、治さないといけないのよ。わかる?」
 ※5 子どもを励まし、自信を持たせた上でもう一度治療の必要性を説明。

 「わかる・・。」
 「そうか。わかるのね。じゃあ明日、行ってみようね。きっと大丈夫よ。」
 「うん。」
 お母さんはたっちゃんを抱っこしてあげました。そして、大丈夫よ、がんばろうね。と手を握ってくれました。
 ※6 抱っこすること、スキンシップを取ることは安心感を与えます。十分に安心感をもらった子どもは自信を身につけていきます。

 そしてお母さんに励まされて、たっちゃんはその歯医者さんの待合室で待っていたのです。歯医者さんなのに子どもたちが笑っている姿を見て、たっちゃんはお母さんの方を見てにっこりしました。それでもたっちゃんの手は汗でしめっていました。でもおもちゃで遊ぶうちにここが歯医者さんだということを忘れて夢中になっていました。
 しばらくして、たっちゃんの順番が回ってきました。
 
「たっちゃ〜ん、治療室へどうぞ!」
衛生士さんが、にっこり笑顔で待合室に呼びに行きます。
それまで笑顔で遊んでいたたっちゃんは急に半べそになってお母さんにしがみつきました。
「やだ!やだ!」
「だめよ。治療するのよ。治療室に行きましょう。」
 お母さんは毅然と言います。
「やだよー!帰ろうよー!」
たっちゃんも負けじとお母さんの後ろに回り込もうとします。

「さあ、行くわよ。」
お母さんはスタスタと先に治療室に入って行きます。
※7 子どもの嫌だという気持ちに焦点を当てず、やだ!という表現の底には「僕はどうすればいいの?」という子どものメッセージを聞きましょう。5歳くらいになれば、きちんと説明すれば虫歯治療を受けなければいけないことは理解できます。いやだと言えば虫歯治療を受けなくてすむ、ということは、やるべきことなのか、やらなくていいことなのかの判断がつかなくなることです。10歳くらいまでは、してよいこととしてはいけないことをはっきりと教えてあげることが大切です。

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